自分たちでつくった「回覧板」。
富水地区、
地域循環型自主財源への
取り組み(前編)
富水地区まちづくり委員会
いま富水の自治会で、
地区の回覧板を自分たちで作り、
そこに地元のお店や企業等の広告を載せ、
広告協賛金は回覧板の制作費と
残りは自治会活動費の一部にあてるという、
先進的な取り組みがスタートする。
発案者は
小田原市自治会総連合の木村秀昭会長、
回覧板制作を
「おとなりさん」編集部で
担当することになった。
ことの経緯はこうだ。
自治会総連合にはもともと行政から
*補助金が出ている。
しかし、それだけで
維持していくことは難しく、
加えて現在の人口減少の流れの中で、
「行政の財源も厳しくなる可能性もあり、
頼みの補助金も維持、継続の保証はない。
であれば今のうちから少しでも
自治会で自主財源をつくれないか」
というのが、
木村会長の考えだ。
そこで思いついたのが、
この「自分たちでつくる回覧板」で、
まずは自分の暮らす富水地区で
出来ないか、
実態を調べはじめた。
すると、
調べてすぐに仕組みがわかった。
いわゆるフリーペーパーと同じ
ビジネスモデルで、
今まで使っていた水色の回覧板は、
市外の業者が
市内外問わず広告営業をして
広告費を稼いでつくった回覧板を、
各自治会長の
玄関に置いていたものだったのだ。
もちろん回覧板制作費以外は
業者の儲けになる。
ということは、
同じことを自分たちでやれば
自治会の自主財源になる。
そこで、
これまで富水地区の
回覧板をつくっていた業者に連絡をし、
次から自分たちでつくった
回覧板を使うから、
もう富水地区で営業をかけないようにと
通告をした。
自治会では
地域の企業にのみ声をかけ、
広告スポンサーを募った。
そうすれば、
企業の広告費は地域のために、
地域の人々は活動に
賛同してくれる地域の企業に
親近感をおぼえ、
日常生活の中で
お客さんとしてその企業を使うようになる
という循環が生まれる。
「初めての試みなので
色々反省点もあるが、
富水がモデルケースになり、
この経験を今度は他の自治会が
役に立ててくれればいいと思う」
という木村会長を見ていると、
こうした地域循環型経済というのは、
実は古くからの
ネットワークを地域にもつ
「自治会だからこそ」できること
なのだなと気づいた。
現在、地域のスポンサー企業も
順調に集まり、
8月中には完成する予定だ。
木村秀昭 会長 (富水地区自治会連合)
*「補助金」と聞くと高額を想像される方もいるかと思うが、
現在人口1万4000人超えの住民をかかえる富水地区で年間約30万円ほど。
これだ け多くの人々が暮らす地域の安全や 環境を支える日々の活動に加え、
様々な行事、また任意団体とはいえ、広報や会計など、運営上必要なこと等も多々あり、
補助金だけでまかなうのは易しくないのが現状だ。
:おとなりさんvol.10 2016.8.1発行号 掲載記事
「回覧板を自主財源にしたい」、
又は、詳細を知りたいという自治会は、
編集部までご相談ください。
おとなりさん編集部
0465・20・7745(デザインこねこ株式会社)
又は、小田原市地域政策課
0465・33・1457