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「思い切り遊ぶ、ときには何もしない、すごし方は自由です。」

「思い切り遊ぶ、ときには何もしない、すごし方は自由です。」

「出入り自由、大人も子ども誰でも遊べます。」
そこは近所の公園に現れた、
白昼夢のような冒険広場。
冒険の醍醐味は、「自由と危険」。
どこからともなく集まった子ども達と
大人達は力を合わせ…。
新しい地域のコミュニケーションに
「冒険」はいかが?

 

「それと、ガラス片が
結構落ちているので気をつけてください。」
始まりのミーティングで
プレイリーダーの「にゅう」さんが
みんなに伝える。  

ここは、
酒匂中学校の近くにある
「酒匂浜公園」。
共同住宅の棟に囲まれた、
近所によくあるような
ブランコやすべり台など
ごくふつうの遊具が置かれた公園だ。  

まだ夏の陽射しそのままの
9月の土曜日、
そんないたってふつうの
この公園で
「プレイパーク」が開催された。
10時からの開催と
聞いていたが、
その時間をすぎても
人はチラホラしかいない。
主催の
「pp@seisho(プレイパークをつくる会@西湘)」
の方々も
まだのんびりと
道具などを運んで準備をしている。
「いつもこんな感じです。
特にプログラムもありませんから、
自由に来て、
好きなことをやって、
自由に帰る。」
と明るく笑う。  

なるほど、
見ているとやってきた
何人かの子どもたちは、
準備を手伝うわけでもなく、
すでに自分の好きなものを
選んで遊び始めている。
準備と遊びの境目がないのだ。
そういえば、
むかし
自分が子どもだった時の
気持ちを思い出すと、
まさにそうではなかったか。

 

徐々に人が集まり出し、いつの間にか盛況に。
チラシを見てバスに乗ってやってきた人から、
たまたま公園に遊びにきたらやっていたという近所の人など様々。

 

子どもの遊びに
プログラムはない。
またプログラムがないことで、
この会は大人にとっても
そうした子どもの頃
遊んでいた時のような
自由でリラックスした
気持ちにさせてくれる。  

プレイパークには、
プレイリーダーという人がいる。
これは子どもたちが
自由に遊ぶための水先案内人兼、
火を使う場所を決めるなどの
「子どもたちが自由に遊べるようにするための」
最低限の危機回避の
コントロールをしている人である。
この「子どもたちが
自由に遊べるようにするための」
というところに
プレイパークの理念がある。
公園には
木の板に書かれた
プレイパークの理念が立てかけられていて、
それはこんな言葉から始まる。

「ここは子どもが主役の遊び場です。
『やりたい』『やって見たい』に
チャレンジできる場所です。
冒険には小さいケガ、
失敗はつきもの。
小さいケガを経験し、
大きなキケンから身を守ることを覚え、
失敗をくりかえし、
どうしたらできるかなと工夫を重ねます。」  

なるほど。
本来、
子ども達にとっては危険なことも
含めてすべて学ぶ対象なのだ。
しかも、
本職である遊びを通して
自然に学び身につけていく
ということだろう。
さらに、この理念はこう続く。

「失敗のチャンスを
うばわずちょっと待ってみて
『できた!』の瞬間のとびきりの顔、
地域の方たちの子どもを
見守るあたたかい目が
私達の活動を支えています。
たき火や泥んこ、木のぼり水遊び。
思い切り遊ぶ、ときには何もしない、
すごし方は自由です。
出入り自由、
大人も子ども誰でも遊べます。」と続く。

 

「pp@seisho」の理念。

 

実は、プレイパークを
この酒匂浜公園に呼んだのは、
酒匂・小八幡連合自治会長の太田さんで、
開催にこぎつけるまで
全面的に協力したのが
酒匂中学校区青少年健全育成協議会の
会長をつとめる今屋さん。
昨年の開催に続いて、
今年は二度目の開催になる。
地域が発案したことで、
いわゆる本当に近所にあるような
普通の公園が、
立派なプレイパークに変わってしまったのだ。

 

 

「自由にって言っても最初は何をしていいかわからない子もいるんです。
だからプレイリーダーはきっかけになるような
『うごき』をしてあげたりもします。」
そう教えてくれたプレイリーダーの「にゅう」さんを見ていると、
誰もいない砂場でスコップを使ってひとりで穴を掘り出した。
すると、しばらくしてひとりの子が「ぼくも掘りたい!」と
駆け寄ってきて、最終的にはいつの間にかメンバーも入れ替わり、
大きな砂山にトンネルを開通させる一大事業に発展していた。

 

 

いつも、いろいろな遊び道具を軽トラいっぱいに積んで、
プレイパークに持ってきてくれる、酒井虎雄さん。
子どもに大人気、大人も興味津々になる独創的な遊び道具は
すべて酒井さんのお手製。
「子どもが構造を考えながら工夫次第で色々な遊び方ができるものを作ってます。
そうすると、遊びながら自然と考える力がつくと思うんです。」

 

「pp@seisho」の
代表を務める戸田さんは
「地域の方にこそ、
この子ども達の笑顔を見てもらいたいんです。」
と話す。
今回集まった
地域の自発的お手伝いの
大人の数はかなり多い。
いつの間にか
子どもと一緒になって遊んでいる、
そんな大人達の
無邪気な笑顔を見ていると
「地域の大人達こそ、
実は子ども達のこういう笑顔を
見たかったのではないだろうか、
そのための場が
いつの間にかなくなっていたのだ」、
そう思った。
お祭りや子ども会の
イベントのように大人が
仕切って行う今までの
地域のコミュニケーションとは
明らかにちがう空気がここにはある。  

地域とプレイパークとの出会いは、
子ども達にとってだけでなく、
地域の新しいコミュニケーションとしても、
とても幸せな出会いになるのではないだろうか。

 

 

地域と連携したプレイパーク開催の立役者、
左から酒匂中学校区青少年健全育成協議会会長今屋さん、
pp@seisho代表戸田さん、酒匂・小八幡連合自治会長太田さん。
今屋さんは数年前に聞いた
プレイパークのシンポジウムで理念に共感していたものの、
そのままになっていたのだが、
昨年pp@seishoと出会うことで、
地域連携型のプレイパークが生まれる事になった。
「今年一年はどう連携が取れるか模索する一年」と話しつつも、
集まった子どもたちを見て手応えを感じているようだった。

 

酒匂・小八幡 酒匂浜公園 プレイパークの風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

:おとなりさんvol.7 2015.11.1発行号 掲載記事

 


pp@seisho活動ブログ
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