日和さんにさそわれて③　お弁当

 

日和さんは毎日お店に手づくりのお弁当を持ってきている。
自分でつくっているので中身はわかっているのだが、
それでも毎日お昼にふたを開けた時
「よし！今日のお弁当は彩りが良いな〜」とか、
「あー、このおかずはお弁当にはイマイチだったなー」などと、
楽しんでいるそうだ。

日和さんのお母さんも冷凍食品などをつかわず、
いつも手づくりのお弁当をつくってくれたそう。
高校生の時には毎日お母さんのお弁当を
もっていっていたというから、
日和さんの手づくりお弁当歴は
ＤＮＡに組み込まれているのかもしれない。

「夫と休日が会う日は、朝食を食べに、
家の近くの海までお弁当を持って行きますよ。」
とこれまた、上級者な発言。
その時はわざわざお弁当箱には詰めず、
おにぎりと、器にそのままいれたものをもっていくのだそうだ。

 

日和さんからお借りした、ある休日の朝の写真。
夫・太郎さんと一緒に器に入れたお弁当を持って近所の海へ。

 

野菜が好きな日和さん。
お弁当にも、蒸籠で蒸した野菜をよく入れるのだそう。
蒸籠で蒸すと、茹でるより甘くなるそうだ。
「実家では21センチ、自宅では24センチの
蒸篭を使っているんですけど、
24センチだと結構大きいから、野菜もたくさん蒸せます。
あと、空いたところに卵を入れておくと
ゆで卵がついでにできて、とても便利ですよ。」 　

この日のお弁当にはコロッケが入っていた。
豚ひき肉とタマネギのみじん切りを炒めて、
塩コショウとほんの少しだけコンソメとお醤油を入れる。
そこへ蒸籠で蒸したジャガイモをつぶし、
混ぜれば種の完成。
小麦粉、卵、パン粉の順につけ、
オリーブオイルでカラッとあげる。
「え、オリーブオイルですか？」と尋ねると、
「私何でもオリーブオイルにしちゃってる。
たまにゴマ油を混ぜたりするけれど基本オリーブオイル」
とのこと。
日和さんのお母さんもよくオリーブオイルを
使っていたのだとか。 　

コロッケの奥には、ホウレン草のゴマ和えが詰めてあった。
「ジャガイモを蒸した後にほうれん草も蒸したの。
それを胡麻和えにしました。」 　

その隣には納豆入りの卵焼きが詰められている。
「納豆の卵焼きって、大好き。今日はパクチー入りです。」

トマトの和え物はトマトとみじん切りにした
タマネギとパクチーをゴマ油、塩、
コショウ、お酢で和える。
「彩はいつも大切にしています。
ご飯も玄米なので、茶色いし、
このお弁当箱も茶色の漆なので全体的に
じみになっちゃう。
だから、赤い食材は必ず入れてますね。
トマトや明太子やパプリカが多いかな。」

 

取材当日は編集部のお弁当までつくってくれていた日和さん！
お米は玄米、オリーブオイルであげたコロッケ、
ホウレン草のゴマ和え、パクチー入りの納豆卵焼き、
トマトの和え物などなど、とってもおいしかったです！
日和さん愛用のお弁当箱は、奥の「拭き漆」の二段のもの。

 

ゴマは業務用サイズを買っているそうで
大きな瓶にゴマが詰めてある。
「夫がゴマが大好きで、
お料理に胡麻を使うことが増えてきました。
斎藤十郎さんのすり鉢でささっとすって、
色々な料理に使っています。」と、
小ぶりなすり鉢を見せてくれた。

 

斎藤十朗さんのすり鉢。
このサイズが、さっとゴマをするのに便利。

実は、以前本誌にもご登場いただいた
Bonciao（ボンチャオ）の葉住さんも、
日和さんのお弁当のファンのひとり。
「しいちゃん（葉住さんのこと）が、
お店にワークショップや展示で
来ていただくときに用意してます。
いつもとても喜んでくれて、すごくうれしい。
ひとつもふたつも変わらないから。」と日和さんは笑う。

誰かのためにつくる手づくりのお弁当。
日和さんのお母さんのＤＮＡは確実に受け継がれているようだ。

 

「日和さん」こと、山川美実さん  
小田原市浜町で『器・生活道具 日和』を営む。日本全国の陶器、硝子、木工、型染め、編組品（竹・あけび蔓）、布モノ・郷土玩具等を取り扱う。サバサバした性格にファン多し。

 

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以下、葉住さんのコメント

 

 

「真ん中にカマボコが乗っているお弁当（写真左上）には、
パクチーと納豆が一緒に入っているだし巻き玉子焼が入っているのですが、
実はわたしパクチーが食べられないのです。
でも日和さんの味つけだとすんなり受け入れられて、
とても美味しくいただけてビックリした一品です。
肉そぼろのお弁当（写真右上）も柚子が
アクセントになってサッパリとしてとても美味しいです。
日和さんのお弁当はどのお弁当も具沢山で味付けのバランスが
とてもよく考えられていて、ごはんがとても進みます。
それでいて野菜もたっぷり折り込まれていて
飽きの来ないお弁当になっています。
そしてなにより食いしん坊な私の事を思って
毎日違うメニューを考えて、
早起きしてつくってくれると云う愛情がこもって
更に美味しくなっていると思うのです。
やさしさがたくさん詰まって、食べていても伝わるお弁当です！　
どのお品も絶品なのです！

 

葉住直美
はすみ・なおみ／2014年に秦野市にて『Bonciao Gallery』をオープン。盆栽や道具・鉢を扱う。盆栽のある生活を通して、四季を感じる暮らしを提案している。また、日本に纏わるしつらえを掲げて、器、雑貨、お洋服なども手掛けている。

 

 

：おとなりさんvol.12　2017.2.1発行号　掲載記事