清閑亭より、渡辺です。第十回「渡辺さんの、御用達！」

（編集部）
こんにちは、おとなりさん編集部です。
今年もまち歩きの大敵、寒い、寒い冬がやってきました。
そんなまち歩きにむかない冬号は、
内容を若干変更して、
毎年恒例「こたつの中で楽しめるまち歩き」を
特別編としてお届け致します。
今回の企画は「渡辺さんの、御用達！」と題し、
渡辺さんが普段使われているお店を教えていただきました。
さすが小田原を知り尽くした渡辺さん。
教えていただいたお店は、
どこも小田原のいぶし銀と呼びたくなるような老舗ばかりです。
ぜひ温かいお茶を用意して、
ゆっくりとお楽しみください。
そして、春にはぜひお店の方へ
お出かけになってみてください。
もちろん清閑亭へも。
今年度から清閑亭の館長に就任された渡辺さんが、
きっとおむかえしてくださいますよ。

 

渡辺さんの御用達！①
片岡美術店の骨董

御用達といっても私が買わせていただいたのは
もう15年も前に一度と、
昨年末の自分の誕生日にいただいた宋代のお茶碗だけ（写真）。
大体季節ごとにお邪魔しては指をくわえているのです。
まずは建物が随所に良くて、1枚ガラスとヒノキの建具、
床は那智黒の洗い出し。
もちろん店内には“ほんもの”の骨董も揃っていますが、
気に入った品について「これは？」と
ご主人に話しを振ってみてください。
「これはね……」と楽しそうに話すご主人に出会えます。

 

自分の誕生祝に求めたのは宋代白磁のお茶碗。
見込みに灰粒の景色がお気に入り。

 

「ほら、墨の跡」と片岡さん。
「箱根登山記念大正13年相州松田町某」の署名入り。
90年前の寄木箱も息吹を感じます。

 

ずーっと気になっていた阿弥陀様、念願の拝見叶う。
室町期の作。よく見ると玉眼キラリ☆一同うっとり。

 

片岡美術店　
小田原市南町1-3-3 　TEL.0465-22-2836
営業時間：8:00‐18:00 　定休日：毎月10日
http://oshiro-minami.com/kataoka1

 

 

渡辺さんの御用達！②
台善刃物店の刃物

御用達といっても私が買わせていただいたのは
もう6年ほど前に一度、剪定ばさみだけ（写真）。
ご主人には怒られそうですがこれに敢えて錆（サビ）を付け、
いぶし銀の風合いを楽しみつつ剪定に励んでおります。
店頭のショーウィンドーには金ぴかの曲尺（さしがね）が。
曲尺は聖徳太子が伝えたという
日本の大工仕事を象徴する道具。
それを飾るあたりがご主人の心意気。
時間が許せば、大ノミやチョウナなど、
大工道具いろいろにまつわるお話もうかがえます。

 

これは仕事の必需品。
老木にも優しい切り口なので植栽のお手入れで頼りになります。

 

持参した祖父愛用のカンナ台をチェックするご主人眞名子さん。

 

この包丁などもすべてご主人が研いで刃を付けたものなので、
購入した瞬間からビシッと使えます。
小田原で暮らすなら刃物をひとつ、ぜひ台善で。

 

台善刃物店　
小田原市栄町1-17-33　TEL.0465-22-4723
営業時間：だいたい9:00‐18:00　定休日：なし

 

 

渡辺さんの御用達！③
田毎の蕎麦

「家庭の味」というのはウマいもマズいもなくて、
それが基準となる味のことですね。
「田毎の蕎麦」は、私にとってそういう味なのかもしれない。
というのも、渡辺家では私で3代目となるお馴染みで、
とにかくジジイの頃から
週に一度はすすらないと落ち着かないという。
蕎麦は香りと喉ごし、四の五の云わず。
新宿矢来町では三代目志ん朝さんの喰いっぷりが
そりゃあキレイだったそうで、
方や、私もここ田毎さんで修行を重ねて
最近漸くすすり方がわかってきたような。

 

「型がない者が芝居をすると型なしになる、型を作るには稽古しかない。」（立川談志）

 

お店の２階からはお堀を一望することができるので、
何かにつけ親類一同で集まるお座敷です。

 

3代目ご主人相澤さん登場。今日もごちそうさまでした。

 

田毎　
小田原市本町1-6-20　TEL.0465-24-3030
営業時間：11:00‐15:00　定休日：水曜日
http://www.soba-tagoto.com/

 

渡辺剛治（清閑亭館長）
「NPO法人小田原まちづくり応援団の一員と して、
2010年より本格的に小田原の勉強を 開始。
1975年12月生まれのうさぎ年。
小田原の魅力を伝えるまち歩きガイドに励み つつ、
いつもは『清閑亭』にいて、お茶をい れたり草刈りをしたりしていたら、
今年度 より晴れて館長の大役を仰せつかりました。」

 

：おとなりさんvol.12　2017.2.1発行号　掲載記事