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今日の、おだわらっこ 泉中学校「幼児ふれあい学習」

今日の、おだわらっこ 泉中学校「幼児ふれあい学習」

学校と地域コミュニティーが連携して実現させた実践型授業
泉中学校「幼児ふれあい学習」
2016年11月28日  泉中学校 被服室

泉中学校では保育学習の一環で、
手づくりの絵本とおもちゃをつくり、
地域子育てひろば「育ちっこ」(東富水)と 「ミッキーの会」(富水)、
いずみ子育て支援センターの協力のもと、
地域の幼児とふれあう授業をおこなっている。

 

「中学三年生になると、これから進路を考えなくてはいけない。
そういう時期にこの授業をすることで、
将来保育士になりたいとか、子育てって大変だなという思いとか、
あと一番は『振り返り』なんですが、
自分の小さかった頃を思い出して、
生き方を考えてもらえたらと思っています。」  

泉中学校では、毎年三年生が「幼児ふれあい学習」
という授業を家庭科の保育学習で行っている。
「中学生になると、小さい子とふれあう機会が
本当に減ってしまうんです。」
そう話してくれたのはこの授業の必要性を感じ、
自分でつくりあげてきた吉田先生。
中学三年生といえば、
まさに思春期のまっただ中で急に自意識が強くなり、
はじめて社会という自分以外の価値観に
気づきいろいろなことが気になりだす。
大人でも、子どもでもない、
とても柔らかい心をもった時期だ。
そういう時期に、学校の「授業」という
枠組みの中で真剣に「幼児」のことを考え、
実際にふれあい、反応しあう時間を経験することは、
中学生の精神の成長にとって貴重な経験となるだろう。

もともと、家庭科の授業では
「子どもがよろこぶおもちゃをつくろう」というのが
あったものの、実際の幼児の反応を見る機会がなかった。
そこで「挨拶運動」に来られている
主任児童委員さんに相談したところ
「地域で一緒にやりましょう。」となり、
地元の子育てひろばとスタートしたそうだ。

今年で6年目。
参加者はどんどん増え、
30人以上の参加者が集まる年もある。
参加幼児の保護者の方たちには、
将来子どもが通うかもしれない
地域の中学校を見てみたいという思いもあるようだ。

最初は硬い表情をしていた女子生徒も、
途中から吹っ切れたように笑顔を見せ、
とても自然に子どもたちの相手をしだしたり
という姿を目の当たりにすると
「この授業はまぎれもなく、中学生たちのための授業なんだ」と、
実感する。  

私たちにとっては、
学校という場所が地域コミュニティーにとって、
とても大切で、可能性に満ちた「場」だ
ということを気づかせてくれる授業だった。

 

絵本や、おもちゃは、身近なものを使ってつくる。
参加者は2、3歳の幼児が多いため、
触って楽しめる絵本の方がいいかなど幼児を研究したり、
ペットボトルのキャップを誤飲しないよう
テープで止めて安全性に配慮したりということを学ぶ。

 

ジグソーパズルは幼児たちにとって少し難しかったようだ。
その様子を読み取り、その場で台紙の方にも
パズルの形を描いてわかりやすくなるように修正する。

 

大人気のバルーンプール。
参加した子どもたちがこうして他の子どもとふれあったり、
また保護者同士が知り合う機会になったりする事もこの授業の副産物だ。

 

色々な絵本をみて研究し、ひとり一冊つくった手づくり絵本。
中には大人が読みたくなるようなこんなおもしろそうな絵本も。
「できあがった本は、将来自分の子どもに読んであげてほしい」と吉田先生。

 

非常に熱心に、情熱を持って授業を担当されている吉田先生。
他の学校でもこうした取組が広がればと願う反面、
それには課題もあるという。
この日も、他の地域の子育て支援センターの方などが視察に訪れていた。

 

:おとなりさんvol.12 2017.2.1発行号 掲載記事