今日の、おだわらっこ 酒匂中学校「三三師匠の全校道徳」
落語を学び、人生を聞く。
酒匂中学校「三三師匠の全校道徳」
2016年11月22日 酒匂中学校 体育館
酒匂中学校の全校道徳でおこなわれた爆笑講演会。
それは地域のおとなたちからの本物に触れるプレゼント。
「これじつはちょっとコツがあって
口をあいまいな形にあけて、あいまいな場所にベロを出して、
あいまいな場所から空気を吸い込むとこういう音がでると。」
この日、酒匂中学校を訪れ、
講演を行った柳家三三師匠は、
生徒を高座にあげて扇子を箸に見たて、
そばをすするという芸を伝授した。
最初にでてきた「コツ」というのは、
無論そばをすする音の出し方についてだ。
生徒とのかけあいが体育館を爆笑で包み、
落語という伝統芸能の本質を堅苦しくなく、
一緒に体験させながら説明していく。
披露した演目は「味噌豆」と「転失気」(てんしき)、
休憩を挟み、講演と、トークタイム。
講演の最後、三三師匠は力強くこう語った。
「自分の思い通りに人生はなりません。
その時思って欲しいのは、
その道は自分で選んだということ。
だから、歯をくいしばる。
そしてそんな時にも、つながれる仲間がきっといます。
そしてもう一つ言います。
たとえその道に挫折しても、他にも、道は、世界はあります。
だから、どうしてもだめな時は、
その道から逃げてもいいんです。
先生方を前に言いづらいですが、
今のみなさんにとっては学校がすべてのように
感じるかもしれませんが、
例えばどうしても学校に行きたくないなと思っていたら、
学校だけが世界だけではありません。
だから逃げてもいいんです。
でも、まだ少しでも楽しめることが残っていたら、
それはたぶん、みんなといるから楽しめるんだろうなと思います。」
企画をした主催の
酒匂中学校区青少年健全育成協議会会長の今屋さんは、
「生徒達が本物の持つ魅力と力を感じてもらうことはもとより、
第一線で活躍する人生の先輩の生き様から、
自己肯定感や自己有用感の大切さを少しでも感じてもらえれば」と
手応えを感じていた。
「今は大学や高校を卒業しているお客さんがいっぱいいる。
そんな中で、高校も卒業してないあなたが、
そういうお客様を笑わせる事ができるとは思わない。」
中学を卒業してすぐに人間国宝「柳家小三治」師匠の門を叩いた三三少年は
小三治師匠にそう諭され、小田原高校へ進学。
卒業後改めて小三治師匠の門をたたき、めでたく入門を許されたそうだ。
しかし、その後待っていたのは師匠の家へ住み込みの前座時代。
3年たって二ツ目になり、晴れて雑用ばかりの日々から解放された時に
気づいたことは「空気を読む力」が身についていたことだったそうだ。
三三師匠と生徒とのかけあいで一体感が生まれ、
爆笑の中舞台上の一点に生徒たちの意識が一気に集中していくのを感じる。
立ち見も出るほどの盛況ぶり。先生たちも熱心に耳を傾ける。
同行取材!
鴨宮中学校の職業体験
実は、今回鴨宮中学校の職業体験実習で、
安東楓花さんと、有馬千遥さんという
ふたりの中学二年生が「おとなりさん」の取材に同行していました。
事前に今屋さんに了承をいただき、
ふたりにも実際に今屋さんにはなしを聞いて、
記事を書いてみてもらいました。
短いですが、初々しさのある、いい記事でしたので、
最小限の手直しだけをし、
もうひとつの今屋さんへのインタビュー記事として、
みなさんに紹介させていただきます。
安東楓花さんの記事
「なぜ、この講演会で
三三師匠に講演してもらおうと思ったのですか?」と
今回の主催者である今屋さんに質問すると、
「中学生達の為によく考えているのだな」、という答えが返ってきました。
今屋さんは、「一流の何かを見せたいというきっかけがあった。
現在、自己肯定感が持てない中高生が多いように思い、
三三師匠には生きざまや経験してきた事なども、
中学生に話していただきたかった」という事でした。
有馬千遥さんの記事
今回の柳家三三師匠の講演について企画をした理由を、
今屋さんにうかがいました。
今屋さんは、最近の子どもは自己肯定感が低いのではないか
という考えを持っていました。
そこで、自己肯定感を持ち、成功した人の講演を聞き、
子ども達にどの様にしたら
自分や他人の考えを大切に出来る人になるのかという事を
考えて欲しいと思い、企画したとのことでした。
今回の講演では、自分の好きな事を
追求して意志を曲げずに努力をする事の大切さが伝わってきました。
:おとなりさんvol.12 2017.2.1発行号 掲載記事